記憶・記録との対峙
地籍調査では山野の奥深くで江戸や明治期の痕跡と対峙して境界照合する作業も例外ではなく、人の記憶や伝承の話ですら無視することが出来ません。デジタルな世の中では考えられない労苦が付きまといます。
- 公図に記載されていない土地の調査で、法務局にも古図等の資料は無く、周辺土地所有者との立会でもわからなかった。組合の施業履歴を調べたり、過去に炭焼きをしていた古老などの記憶をもとに再立会、最後に隣接土地の売買契約書類から所在が分かり、隣接土地所有者から割譲してもらえた。(1年以上かかった)
- 公図に記載されていない土地の調査で、市役所に資料が残されていたので、それに基づき隣接する土地の地権者2名と協議を重ねたが合意できず筆界未定地とした。2年間かけても解決に至らなかった。
- 森林調査と異なり、境界を示す根拠を求めて、下を向いて歩き回ることもしばしば。気が付けば奥地に入り込み、GPSが当てにならなくなり、遭難の一歩手前までいった。非常に危険である。
- 現地調査の為、多くの関係者に集って貰う日時の調整が一苦労。せっかく調査に日時が決まっても、当日大雨で調査見送りも多い。